闇の女たち-消えゆく日本人街娼の記録-性を武器に世の中に挑む女たちの話<書籍レビュー>

2019年10月17日

こんばんは、妖子です。
私が尊敬する職業のひとつ。

セックスワーカー。

当時、現役で働いていた各地の街娼や男娼のインタビューが数多く掲載された本書は、大変読み応えがあります。

街娼の数だけ、ドラマがあり、人生があり、哲学がある。

体を売る仕事が汚らわしい、と言ってしまうのは簡単です。私は決してそうは思わないけれど、そうしたイメージが定着してしまっている人にこそ読んで欲しい一冊。

それでは、今日もレビューいきましょう!

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☆☆本日の目次☆☆

  1. 長い歴史の果てに
  2. 「性」だけがすべてではない
  3. アイデンティティーと向き合う
  4. 男娼たちの存在
  5. まとめ

長い歴史の果てに

セックスワーカーの歴史はとても長く、奈良時代から始まります。

そして、江戸時代に現れた「街娼」は現代まで(少なくともインタビューが行われた年までは確実に)ひっそりと存在していました。

街娼=街頭で営業をし、サービスをする売春婦

従事者は平均年齢が高いのが特徴的で、風俗店ではなかなか働けない人たちや、その道で長年のキャリアを積んで来た人たちが大多数を占めます。

ギュウギュウに固められた社会制度の中で、性欲と共存する以上、性を商売道具にする仕事はなくなりません。断言できます。

しかし、時代に合わせて姿形が変わっていくのは当然です。街娼は、近いうちになくなってしまうかもしれません。

「性」だけがすべてではない

遊女こうした仕事の核にあるのは、「必ずしも性欲だけではない」というのは興味深いところではないでしょうか。

お客さんの中には、その年でも勃起するのか!、と驚くほどの高齢者がぞろぞろいます。

しかし、全員が性的なサービスを求めてくるわけではないのです。

会話をして、「ありがとう」と謝礼を払っていく人がいる。

年に1度訪れて、「元気?」と挨拶代わりにサービスを受けていく人がいる。

客としてではなく、欲の捌け口としてではなく、一人の人間として向き合うこと。そうした根本で商売をしている街娼さんは、人気が長続きしている印象です。

核にあるのは、一般的なサービス業と何も変わりません

ある街娼さんは、お客さんと別れる時、その姿が見えなくなるまで、お見送りをしていました。

この客が、彼女にまた会いに来たくなるのは、不思議でもなんでもありません。

そんな馴染みのお客さんが来なくなると、不安になるもの。

年齢によっては、亡くなっていることもある。

「死んでても生きてても、連絡先なんて知らないから、どうしてるかなぁ、元気してるかなぁと思うくらいしか出来ない」こんなことを言ったら不謹慎かもしれないけれど、なんとも刹那的で、情緒的な関係です。

アイデンティティーと向き合う

ある人は経済的理由で、ある人は天職で、ある人は不可抗力で。

街娼になる背景は様々ですが、共通項がひとつだけあります。

それは、性を商売道具にしていることで、自分の存在価値と向き合わなければならないこと。

直接は語られませんが、それぞれの会話を読んでいると、アイデンティティと直結していることがわかります。

就職活動では「自分探し」などと言いますが、そんな言葉では表現しきれないほど、彼女たちの「自分さがし」は壮絶です。

酒に溺れる者、借金に苦しむ者、男運に見放される者、地に足をつける者、天地ほどの差が生まれます。

就職活動など呑気な次元では語られず、生命に関わります

彼女たちは、命をかけています

体を売る商売が汚らわしいなどと、とんでもないと私は思うのです。

男娼たちの存在

本書には、数多く登場します。

男娼=男性バージョン。相手のお客は男性がほとんど。

いろいろな意味で、彼らの話は興味深いです。

完全に女のフリをして騙すこともあれば、男と知っていてやってくる客もいて、駆け引きの応酬。

性別を超越した下(シモ)の話が大好物な妖子にとっては、たまらないエピソードが盛りだくさんです。

まさに目から鱗の嵐。今さらですが、人間の趣味嗜好の幅広さを見せつけられました。

まとめ

どこまでもアナログなやりとりに、どこかノスタルジーを感じてしまう街娼文化。

従事者の年齢が高いことから見ても、希少な仕事であり、近代になって繁盛してきた風俗とは全く違う味があります。

なんというか、「いき」です。

色のかすれた、古いアンティーク映画を見たような感覚を覚えます。

ちなみに、前半はインタビュー、後半は街娼の歴史となっており、後半はほとんど読み飛ばしました。

前半だけでも、満足できる一冊です。

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