「遠き落日/渡辺 淳一」野口英世、波乱万丈すぎるその人生。1000円札の称号は伊達じゃない<書籍レビュー>

野口英世。

この名前を知らない日本人を見つけることは、だいぶ難しい。

でも、本当の意味で彼を理解している人は、きっと少ない。

いや、厳密には、凡人には理解できない、というのが正しいのですが、

だからこそ!

その「常軌を逸した全力な人生」を垣間見ることは、実におもしろい

天才と狂気の二面性を持ち合わせた野口英世の魅力が、詰まりに詰まった伝記小説!オススメです。それでは、レビューいきましょう!

☆基本情報☆
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タイトル:遠き楽日(上下巻)
作者;渡辺淳一
ジャンル:伝記
見どころ:一人の男の生き様
ブログ内でのネタバレ:多少あり
刊行年:1979年(驚き?!)

☆☆本日の目次☆☆

  1. 天才と狂気を合わせ持つ偉大過ぎる日本人
  2. 常軌を逸した研究への情熱
  3. 野口英世の研究は徒労だったのか
  4. まとめ

天才と狂気を合わせ持つ偉大過ぎる日本人

類いまれなる集中力

周りを圧倒する情熱

生まれ持った知性

黄熱病の研究で世界中に名を馳せた野口英世。しかし、皆さんは、彼には全く違う一面があったことはご存じでしょうか?

常軌を逸した浪費家

周りを振り回す気分屋

激しい女遊び

これらを知らずして、野口英世は語れない。

この二面性こそが野口英世そのものであり、魅力なのです。

実は、ホリエモンがオススメしていたというだけで、手に取った本作。最初の数ページを読んだ段階では、「久しぶりに、(読むのを)挫折するかもしれないな」と感じたのです。

話は、英世の誕生からスタートします。

粗大ゴミのような父親と、気骨溢れた母親の元に生まれ、絵にかいたような極貧生活。ある日、不慮の事故で手が奇形になってしまいます。それが原因でいじめを受け、まともな教育も受けられません。

極貧、いじめの経験をバネに、金に困ったら他人にたかりまくる処世術を身に付け、生まれ持った勉学の才能を開花させていきます。

しかし、学問のために工面したはずの金は、売春宿でその日のうちに使い果たしてしまい、また借りるの繰り返し。困るのは自分自身なのに、浪費癖は治らない。一方で、学問への情熱は増すばかり。

 

いつのまにか、ページをめくる手がとまらないのです。

 

気になる。

 

どうやったら、この主人公があれほどの偉業を成し遂げることになるのか、

 

気になる!

こんな奴、周りにいたら、絶対に嫌だ!!!と思うと、ますます目が離せない。笑。

渡辺氏の元来の文章力はもちろんなのでしょうが、生き生きした文章を実現させているのは、英世の生き様だと感じずにはいられません。

とにかく、どんな局面でも情熱と熱意がすさまじい

金を借りる時も全力、勉学も全力。「常に全力」とは、まさにこのこと。読んでいて爽快なのです。

常軌を逸した研究への情熱

日本でも、海外でも、英世の周りの人間の反応はいつも同じ。

彼はいつ寝ているのか

あんなに勤勉で、熱心な人間を見たことがない

寝ても、覚めても、研究、研究。結婚をして地に足がついてからは、その傾向がさらに強まります。

現代においても、なにかに実直で、一生懸命取り組んでいる人は、とても魅力があるものです。英世は、その典型。文章越しにも、その情熱が伝わってきます

小柄で、奇形であるコンプレックスと戦いながら、飛行機もない時代に、世界を相手に挑み続け、大陸から大陸へ飛ぶ回る研究人生を送ります。日本国内の賞はもちろんのこと、権威ある世界の賞も受賞し、最後の最後まで、研究者の意地と誇りを胸に、アフリカへ渡るのです。

彼の生涯を通した借金額は、とんでもない額だと言われています。浪費癖を知っても、なお、サポートをし続けた人々の存在は、英世が類いまれなる知性と情熱を持っていたことの、証明と言えるのではないでしょうか。

野口英世の研究は徒労だったのか

英世がアフリカに渡ったのは、自分の研究の真偽をはっきりさせるためでした。

残念ながら、黄熱病の研究の佳境で、自身が同病にかかり、この世を去ります。

そのあと、彼の研究が間違っていたことが、別の研究者によって証明されるのです。

 

ショックでした。

 

生涯のほとんどを黄熱病の研究に費やし(上下巻の物語の90%!)、そのクライマックスが間違いだったなんて。

でも、考えを改めました。彼の偉業はそこではない、と

何かに情熱を燃やす人生がいかに素晴らしいか、ということを、時代を越えて私達に教えてくれているではないですか!

彼が生きていた当時、彼の周りにいた人々も、同じ気持ちだったのではないでしょうか?

まとめ

技術も科学も発展途上の中、世界中を飛び回る英世を見て、たくさんの人がエールを送ったと同時に、希望や情熱を分けてもらっていたのだと思います。

この作品以前、語られることのなかった「人間・野口英世」を見事に、描き切った作者・渡辺氏の情熱にも、感服です。

最後に、英世の有名すぎる、決意表明のこの短歌で締め括ることにします。

志を得ざれば再びこの地を踏まず

 

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