「アポカリプスの砦」女性におすすめ、イケメン揃いのゾンビ漫画<レビュー>
☆注意☆
しょっぱなからネタバレあります。ご注意ください。

☆基本情報☆
タイトル:アポカリプスの砦
ジャンル:ホラー ゾンビサバイバル
連載誌:月刊少年ライバル
完結年:2015年
ゾンビの種類:スロー(ボコールの指示による)
見どころ:テンポ良く進行するわかりやすいストーリー。まとまりも良い。
活動範囲:籠城→東京近辺オンリー
ネタバレ:あり
ゾンビは実写ものが一番ですが、ここ数年のゾンビブームでゾンビ漫画の量産がふえ、中にはとてもよく出来た作品があります。
このアポカリプスの砦も大変優秀な作品でした。もう一度言いますが、ネタバレ存分に含む内容でお送りします。ご注意を。
少年院に送り込まれた少年たちがゾンビに立ち向かうパニックサバイバル。10巻という決して長くない巻数の中で、とてもうまくまとまっています。
消化不良もなく、物足りなさもありません。少年たちの過去や、彼らの友情、はたまた恋愛(?)など人間ドラマもしっかり描かれています。
この漫画では、旧人類(人間)から新人類に意向する過程で、順応できなかった旧人類がゾンビになるという設定です。
猿から人間に変遷した歴史の再来ということです。
感染しても完全なるゾンビにはならず、順応過程にある新人類の先がけのボコール(主役チーム命名)は、ゾンビを操ることが出来ます。そのボコールの1人が主人公であり、この物語においてキーパーソンになるわけですね。
最初は少年院での籠城がメインですが、途中からロードトリップになります。このパンデミックの研究をする博士の元へサンプルとしての主人公を送り届けるのが目的です。
最後はボコール対ボコールの野外決戦。
とてもわかりすく、シンプルなストーリー構成で、さらには新薬開発の成功により、人類が救われるハッピーエンドなので、もやもやした結末やバッドエンドが苦手な人でも健やかに終わることができます。
続編を匂わせる伏線もありません。
ここからは個人的に、好きなシーンや印象に残ったエピソードを記載します。
基本的にグロはとても少ないゾンビ漫画です。捕食シーンは多数ありますが、トラウマになってしまうようなシーンはありません(注:筆者のグロ基準は完全に麻痺しているのでご注意ください)。
ただ、生理的に気持ち悪かったシーン(お気に入りのシーン)があります。それがこちら。
人面犬タイプのゾンビが生きた人間をおちょくるこのシーン。
すんげぇぇぇ気持ち悪いんですけど!!!(狂喜乱舞)
鳥肌たちました。発情したかのように腰を振って、、そして、高笑い。いやぁぁ、このシーン最高です。そして、こちらも印象的。
ボコールとボコールの結合シーン(旧人類で言う性行為)。アダムとイブを思わせる見かけと接吻から一体化していくその様は、なんとも言えぬセンスを感じました。
が!!
デジャブなんだよなぁ、どこで見たんだろうか?何とかぶっているんだろうか?
アダムとイブといえば、本作品の中では聖書や神の話がよく出てきます。
”新”人類誕生の局面なので当然ですが、織り混ぜかたも程良いバランスです。あまりくどいと宗教嫌いな私などは読む気がなくなるので(だからエヴァンゲリオンはダメなんだよな)。
少年たちがなぜ少年院に入ることになったのか。その理由を暴く回想シーンもありますが、挿入タイミングが絶妙。残念ながら主役グループの中にも死んでしまうメンバーがいますが、描き方がうまかったです。
画風は見ての通りのBL路線でもいけそうなキャッチーなものです。イケメン揃いで女性でも入りやすく読みやすい。
男好きのメス代表・妖子が言うのですから間違いありません。
これで浦沢直樹のような画風だったら、よりシリアスになったかもしれませんが、私はこの軽いタッチがなんだか新鮮でした。
そんなわけで、とても良い出会いでした。
ゾンビって怖い!!でも、見たい!
そんな初心者さんにもオススメできるエンターテインメント性の高いゾンビ漫画。