漫画レビュー「女王の花」国のため、愛する者を突き放し、人を斬る。残酷な運命に立ち向かう女王の物語

2020年5月4日

こんばんは、妖子です。

とても読み応えのある少女漫画に出会いました。

「生きること」の苦しさ、素晴らしさを見事に描き切った作品です。

★女王の花/和泉かねよし★

タイトル:女王の花/和泉かねよし
ジャンル:王族・戦(いくさ)物
見どころ:少女漫画のジャンルにとらわれない深みあるストーリー
ネタバレ:なし
刊行年:2017年

10秒でわかる女王の花

昔昔あるところにお姫様がおりました。聡明で美しく勇敢。女性でありながら、王になるべくして生まれてきた素晴らしいお方です。

女王の花

しかし、王になるための過程は、想像を絶する苦行でありました。

謀反、復讐、妬み、恨み、そのすべてを一身に背負い、いくつもの屍を乗り越えねばなりません。

愛し、愛される行為すら拒絶し、涙をこらえながら前に進む。それが王。人の上に立つ者の幸せとは。

少女漫画の枠を越えた傑作ドラマ。テーマは「絆」と「王」

戦、恋愛、仁義、コメディ。すべての要素がバランス良く詰め込まれた全15巻。

絵があまり好きではなかったので、最初の3巻で挫折かと思われました。

女王の花

しかし!当初の気持ちが嘘のよう!!あれよあれよと引き込まれていく。

戦モノにしては、登場人物少なめ。かつ、一人一人が個性的で、キャラが確立しているのもポイント。

それぞれの関わり方や関係性がうまく描かれ、心の揺れ動きや移ろいも絶妙で、読んでいて飽きません。登場人物が亡くなる時は、いちいち感傷に浸ってしまうのが不可避。

恋愛と呼ぶには、重く、切なく、深すぎる

主人公は王女・亜姫(あき)と、その付き人の薄星(はくせい)のダブル主演と言い切ってしまって良いでしょう。この二人の絆なくして、物語は語れません。

身分が異なるため、主従関係にあることすら、不自然な二人。

よくある禁じられた恋、とかそういうありきたりな設定には一切重きが置かれません。

複雑な環境に身を置く姫と、その付き人だから「こそ」生まれた絆は、最後の最後まで物語の軸にして、素晴らしい結末をもたらします。

それぞれの王の形。己の忠義を据えよ

女王の花

王の座をめぐって熾烈な争いを繰り広げる4国が舞台。

世代を飛び越え、様々なタイプの王が登場します。

ただただ、性悪で残忍な印象で終わりそうなキャラクターも、それだけにとどまらない味付けは作者の腕そのもの。

「王とはなにか」。現代社会にも通じる何かが15巻を通して描かれます。


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