イケメンを凌駕する男の生き様「七人の侍」女が見て思うこと★映画レビュー★
こんばんは、妖子です。
私たちの年齢だと、「聞いたことはあるけれど、見たことない昔の名作」というものが結構あります。
そのうちの一本が「黒澤明作品」。
作品の名前を挙げろと言われれば、何作か簡単に挙げられます。
七人の侍、用心棒、羅生門、生きる。
でも、見たことないんですよね。
そう見たことないんですよ。
今なら胸を張って言えます。
もったいないです。
ストーリー自体はとてもシンプル。
侍たちが百姓たちを救うべく村を襲う山賊たちと戦うといったもの。
ストーリーこそ2行でまとめられますが、とても見応えのある作品でした。3時間30分の超大作が理由ではありません。むしろ、3時間30分なのに、まったく長く感じません。テンポの良さ、キャラクターの魅力、わかりやすいストーリー、俳優陣の演技力、加えて個人的には白黒なのも情緒深い。
そしてどこまでも男臭い!!
ストーリーがシンプルだからこそ、細かい演出が際立つ、というのは昔から思うところ。梅干しと白ごはんの組み合わせは最高においしい。
特に、こだわり抜いた逸品だったらなおのこと。(たとえ全然うまくないwww)
この作品が海外で人気なのは納得!こうした繊細なテイストは、「しょっぱい、辛い、酸っぱい、甘い、全部まとめて、えぇ~い、ジャンクだぁ~」としてしまう大味大好きな海外には真似できない。題材がSAMURAIなのも、海外人気の大きな理由なのは間違いないでしょう。
そして、この映画の一番の見どころであろう泥臭く、汗臭い、男臭さ。
全く知識ないけれど、男性ファンが圧倒的に多いのではないかしら。EXILEに男性ファンが多いのと同じで、男臭さというのは、その文化が現れるし、魅力のひとつですね。イケメンとは全く違う次元の話。イケメンは誰一人出てきません。
でも、ものすごくかっこいい。
震えるくらいかっこいい。
言葉ではなく、行動で。
表情ではなく、背中で。
生き様と人間性を見事に演じるキャストに精いっぱい、心から拍手を送りたい。
特に私のお気に入りはこの侍。
言葉は少ないが、おいしいところをもっていく。最後の最後まで、もっていく。
そして、圧倒的存在感はやはりダブル主演のこのお二人。


お気に入りのシーンは最後の雨・泥だらけの戦。泥しぶきが舞い、演技ではなくリアルに足元を取られている演者が、緊迫感と臨場感を演出しています。あの時代だから雨をふらせるのも大変だったでしょうし、疲弊感と緊張感を漂わせたのは黒澤監督の腕なのでしょう。
「名前だけ聞いたことある作品」というのは伊達じゃないんです。
「名前が聞こえて来るには理由があるんです」。
是非一度ご鑑賞ください。